第1回東北絆テーブルオンラインサミット
「withコロナ時代の地域戦略~仕事と地域移住を考える~」
日本全国、様々な業種業界に大きな影響を与えている新型コロナウィルス。まだ先行きが見えない状況ではありますが、東北絆テーブルでは、参画いただいているメンバーやサポーター企業の皆さまと、相互に課題や状況を理解すると共に、農業、水産業、県といった境を超えて、今後更にビジネスや東北の地域を発展させていくきっかけとなればと考え、数回に渡って「オンラインサミット」を開催します。
初回は「withコロナ時代の地域戦略~仕事と地域移住を考える~」というテーマで、㈱サラダボウル 代表取締役 田中進氏をゲストスピーカーに迎えて、㈲マイティー千葉重 代表取締役 千葉大貴氏との対談を中心に実施しました。
これから訪れるwithコロナの時代。都市圏を離れ、就職や移住を目的とした地方への人材流入の動きが活発になることが予測されます。地方自治体の課題であった「関係人口」の拡大が予想されていることを踏まえ、「地方創生に関心が高い人だけが関係人口となる」とは限らなくなっています。
そんな中、受け入れ先として選ばれる企業、事業者となるために何が必要か?
学生が選ぶ魅力的な社長アワード「charming Chairman's Club CHAMPIONSHIP 2019」の初代チャンピオンに選ばれた、田中 氏。彼のもとには毎年、高学歴、一流企業出身者などの優秀な人材がたくさん集まってきます。人材を確保するにあたっての戦略、受け入れ体制の作り方など、対談を通して紐解いていきました。
第一章:日本一魅力的な社長が掲げる企業戦略とは?
はじめに、今の状況下で、㈱サラダボウルに優秀な人材が集まってくる理由と優秀な人材をどのように育成しているのかという切り口から、企業戦略の話を伺いました。
田中氏が推し進めるリクルーティングは、「カルチャーフィット」の観点から自社の文化や理念・方向性を嘘偽りなく相手に伝えて、入社前と入社後のギャップを少なくするという方法で、採用も田中氏が主体になって進めるのではなく採用担当者に一任しているとのこと。
また、一人ひとりのキャリアデザインも行っており、「チャンレジは担保するがポジション(役職)は担保しない」というスタンスのもとで、どのような役割を通して自身のキャリアを形成していくのか、成長をさせる機会を会社側で整えていると説明しました。
㈱サラダボウルではICTを取り入れた経営にも力を入れており、経営そのものをデジタルに落とし込むデジタライゼーションの段階に経営を移行させ、数値として問題を把握できるようになったことで本当の問題点の見える化が進み対応速度が上がったと話しました。
第二章:withコロナ時代の仕事と地域戦略
はじめに千葉より、コロナウィルスの影響から、首都圏を中心にリモートワークが普及し、どこにいても仕事ができるような状況になっていること、地域への移住希望者が増加している傾向についてデータなどを基に共有しました。
これまでは首都圏でないとできなかったことが地方でもできるようになり、首都圏と地方のどちらによりチャンスや優位性があるのか、業種業態によって見極めは変わってくると田中氏は言います。
今後、首都圏と地方も分散化がより進めば、地域独自での新しい技術や文化が生まれ、それに付随する産業が発展していくであろうと、今後の地域産業の行く末を予測しました。
続いて、㈱サラダボウルの運営事例から「社会的要請」に応える経営形態についての話を進められ、自分たちが得意としていて且つやりたい事で、さらに社会が必要としていることを行っていけば必然的に応援者が出てきて事業も自然と成長していく。同時に、めまぐるしく変わっていく社会の変化についていけずに振り落とされてしまう人も多く出てくるであろうという、厳しい現状も述べられました。
第二章の最後では、環境省が提唱する地域循環共生圏の話で締めくくられました。地域循環共生圏とは、地方に機能分散の集約を行い足りないものは補完しながら地域を循環させていくことであり、今後地域は循環共生圏を作っていく段階に進むのではないかと予測しました。
第三章:質疑応答
第三章では、参加者から事前にいただいていた質問に対して返答していきました。
「首都圏から来る優秀な人材の雇用と継続的に働ける環境を作るためにすべきこと」についての質問に対しては、賃金面では大手のような金額を支払うことができなくても、大手にはできないことがここではできるという会社としての魅力を戦略的に打ち出していくことが大切であると結論づけられました。
続いて、「コロナによって高まった地方への関心を地方創生にどのように生かせば良いか」という質問には、現状を変える勇気と具体的なアクション、そしてそれを継続して行うことが必要という見解を述べられました。
最後の総括では、今後は社会の課題と多面的に関わり、それを一つずつ解決していく事で今まで出来なかったことが出来るようになっていくであろうと述べ、サミットを締めくくりました。
まとめ
初開催となった今回の東北絆テーブルオンラインサミットでしたが、コロナ以降の地方への人材流入の動き、企業としてその人材をどのように戦略的に確保していくか、田中氏の事例を学ぶと共に、その優秀な人材を確保することが、これからの地域を牽引する新たなリーダーの掘り起こしになる、として地域戦略についても触れる内容となりました。
コロナ第2波の予兆がある不安定な現状の中で、「新しい生活様式」が少しずつ我々の生活に浸透してきています。地方が注目されている今、東北ではどのように行動すべきか?参加者各々の課題や活動のヒントになっていればと思います。
サミット後に実施したオンライン交流会(任意参加)には、農業生産者を中心に10名程度が参加され、近況の報告、サミットの感想、今後の取組みなどについて情報交換を行うことができました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!